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マインドセラピーわきやま

阿波路を行く④ 〔滝に打たれる〕

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(番外霊場 建治寺)

日の出の時刻、晴れて空は明るかったが、山の中なので太陽はまだ出ていなかった。

写真は、宿を出発した7時20分頃の太陽。ようやく顔を覗かせた。

普通の遍路ルートだと、ここから山を下りて十三番大日寺あたりまで行くのだが、今日は八十八札所のお寺には行かない。

番外霊場である、大瀧山建治寺というお寺だけを参拝する予定だ。

十三番大日寺の奥之院でもあるが、訪れる人はそう多くないのではなだろうか。

 

昔、新聞記者をしていた方が遍路の体験を書かれた「四国遍路」という本を読んだ時、この建治寺のことが書いてあった。宿坊に泊まり、早朝に僧侶に連れられて滝行をした件を読んで、ぜひ行ってみたいと思った。

この寺の開基は、修験道の開祖 役の小角。そして、弘法大師ご自身が荒行をされた場所。その後、修験道根本道場として、発展したそう。

電話して確認すると、残念ながら、今、宿坊はやっていないという。

 

里の寺とはちがった、張りつめた空気と厳粛さを求めて、向かった。

 

 

まずは山を下っていく。

この辺も300~400メートルの高さなので、山の雰囲気に満ちている。

峠を一つ越えた後、また高度を下げていく。

 

所々に山の湧き水がある。おいしくて、見つけると、つい、口に含んでしまう。

そういえば、ぎっくり腰の後遺症は? 

時々ギクッと痛むこともあり、疲れて宿に着いたら神経痛のように傷んで、自由に動かせない時もある。しかし、歩いてる時はなぜか、安定している。

重いリュックがコルセット代わりにでもなっているのだろうか?

または、足指の痛みが勝って、そちらに気をとられているんだろうか?人間の感覚とは意外と曖昧なものかもしれない。

腰がギクッとしたら、はじめのうちは大変だ、と思っていたが、少々痛くなっても、ああ、またか、ぐらいになってきた。

 

道端で、知り合いの車を待っていたおばちゃんと立ち話。

昔、焼山寺に行ったけれども、もうこれは無理だと思って、登るのをやめたと言っていた。

時々、徳島市内に下りて滞在することがあるが、すぐに山に帰りたくなると言う。特に街の水はまずくて飲めなくて、山の水を持ってきてもらって、冷蔵庫に入れて飲むらしい。自分の家に訪問してきた知り合いも皆、水がおいしいと言ってくれるそうだ。

阿波の言葉がやわらかく、とても懐かしい感じがした。

途中、養蜂用の箱が積んであった。

 

潜水橋を渡る、この一帯にはこういう橋が多い。

 

川に下りて、足を水につける。 四国の川を見た時から、ずっとやりたいと思っていた。

(指に絆創膏を巻いているので、濡らさないように、足の甲だけなのが残念)

 

昨夜、同じ宿だった方と、自然と抜きつ抜かれつ(競争はしていない)しながら行く。

 

途中で人形?創作かかし?の集落があった。人には一人も会わなかったが、人形は数十体いた。そういえば、前にニュースで紹介されていたような。

 

川沿いの食料品店で昼食を買い込んだ後、建治寺に向かう「建治寺遍路保全道」に入る。

ほとんど人が通らないようで、倒木がそのまま道をふさいでいる所がいくつかあった。保全道といってもなかなか保全していくのは大変なのだろう。

 

●番外霊場 大瀧山 建治寺に到着

けものみちのような道を登り、岩山の中腹にあるお寺に着いた。

 

寺務所を尋ねたら入れ替わりに、眼光鋭い、恰幅のよい僧侶が出かけていった。住職さんだろうか。

多少、滝行の心得はあるので、寺務所に許可いただいて参拝の前に滝場、梯子場、お鎖場に行くことにする。

江戸時代までは、まず、滝で身を清めて、梯子、鎖などの行場を経てから参拝する習わしになっていたそうだ。

一人で滝場を目指す。

かなりの急斜面を下って、滝場にたどりく。数十メートルの断崖絶壁から水が落ちている。

最近ほとんど雨がないため、とても水量が少ない。

写真ではわかりづらいが、滝行をするぐらいの水は落ちている。

後で、僧侶の方に水量の豊富な時の動画を見せていただいたら、これとは比較にならないほど大量の水が落ちていた。

ものすごい迫力と勢いだった。

滝場のお堂の脇の露天で、着替えさせてもらう。

役行者、弘法大師が滝行された同じ場所で、お滝をいただく。

だれもいない中、自分の発する九字や、真言、読経の声が巨大な岩の壁に反響する。

 

行衣を着替えて、道を登る。

梯子場に到着。

梯子はステンレスで出来ているようだ。さんや袋を襷掛けにして金剛杖を横に差し、登る。かなりの高さで、上方に登るとたわんで揺れる。

次は、お鎖場。

まさにロッククライミング。鎖が太く重いので、素手を岩との間に挟むと、大けがをしかねない。軍手をしたほうがよかった。

滝、梯子、鎖を経て、ようやく、険しい勾配の山門にたどり着く。

 

本堂、大師堂で、お大師様、役行者様のご威光を感じながら、勤行させていただいた。

すばらしい参拝だった。

最後に納経所でご宝印を戴く時、希望ならば今度、素泊まりであればけっこうですよ、と言っていただいた。

名前も控えていただいたが、今度いつ来れるかは、わからない。できれば、滝場の水量が豊富な時にでもまた、来させていただきたいと思う。

さあ、宿へ行こう。

 

爽快な気分(写真はずいぶん眠そうに見えるが)で出発したが、今日も急な山道を登り降りした影響で、足の爪が痛む。

帰りの下り道はとても遅いペースで、足をいたわりながら下りるしかなかった。

道を迷ったあげく、約2時間かけて鮎喰川沿いのプチペンションに到着。

今日は1人だけの宿泊。ここは普段、立地の関係で逆打ちや番外霊場回りなど、個性的な廻り方をする人が多く泊まるという。

建治寺は以前は寂れていた感じだったが、現住職さんがやり手で、盛り立てたらしい。

たぶん、到着した時にすれ違った僧侶がご住職だったのだろう。風貌からして納得できた。