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マインドセラピーわきやま

「HSP」な人、心配いりません。

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あなたは「チキン」ですか?

と言っても、トリ肉のことではありません。

 

「ああ、どうしよう」とか、

「あの人こわそうだなあ」とか、

小さなことであたふたしてしまう性格を「チキン」と呼びます。

かくゆう私もけっこう「チキン」な性格です。

 

「チキン」よりもシャレた(?)呼び名、

それは、「HSP」(ハイリ―センシティブパーソン)

一言でいえば、「人一倍繊細な人」という意味。

この言葉を考案したエレイン・N・アーロン博士によると、

すべての人の中で、およそ20%はこの「HSP」だといいます。

なので、「HSP」は、

気質=持って生まれた性質

といえます。

 

ところで、あなたの周りには、何があっても落ち着いていて、頼りになる人はいませんか?

そんな人を見て、

「○○さんみたいになりたいなあ」と思っているかもしれません。

 

でも、その人の心の中はどうでしょうか?

本当はムリをしてがんばっているのかもしれません。

「チキン度」「HSP度」は、外見からはなかなか判断できないものです。

 

 

HSP」「チキン」な人はだれでも、

「自分の気質を克服したい」と考えがちです。

でも、本当に「HSP」や「チキンな人」は胸を張れないのでしょうか?

 

そのギモンにたいする手掛かりになりそうな実験をご紹介しましょう。

 

「おぬし、雑念にとらわれておるな、、」

 

ある精神科医が、

僧侶の瞑想を科学的に分析する、という実験を行いました。

頭部に電極を取り付けて座禅をしてもらったそうです。

 

「お坊さん」といえば、

何ごとにもブレない代表選手みたいな人達。

 

その結果はやはり、

特殊な脳波が測定されました。

 

瞑想中の僧侶は「シータ波」という、

インスピレーションが湧いたり、ひらめきの瞬間に出るといわれる特殊な脳波を発していました。

(寝入りばなにもシータ波は出ますが、瞑想中は意味がちがうそうです)

 

お坊さんは「チキン」だった?

 

いろいろな実験が行われた中で、おもしろい試みがありました。

それは、

瞑想中に音が聞こえてきたら、脳波はどう反応するか?

という実験です。

 

座禅中、連続して音を鳴らし、その反応を測りました。

 

お坊さんの脳波はどう変わったと思いますか?

 

「深い瞑想中は、音になんか影響されないんでしょう?」

と思うかもしれません。

 

それが意外や意外。

なんと聞こえる音に反応して、

シータ波が乱れたのです。

しかも、

連続して音を鳴らすと、

そのたびにシータ波が途切れました。

 

えっ?

座禅が得意なお坊さんも、

けっこう「チキン」なのでしょうか?

 

 

比較するため、同じ実験を一般の人にも行いました。

すると、

一度音が鳴った時、同じように脳波が乱れました。

しかし、2度、3度、音が続くと違いが出てきました。

音が連続するにつれて、脳波が反応しなくなってきたのです。

 

なんか、想像と逆ですね?

お坊さんより、普通人のほうが、精神統一できているの?

 

そうではありません。

じつは、この反応こそが、僧侶が瞑想に熟達している証だというのです。

 

「慣れ」のからくり

 

どういうことでしょう。

それは、

ふつうの人は「慣れ」が出たのです。

 

音が連続して聞こえると、

あらかじめ音が鳴ることを予測するようになります。

ようするにビックリしないように意識して身構えるわけです。

そうすると、脳波的には動きがなくなります。

それは、

「また音が聞こえてくるだろう」という考えが浮かんで、心が動いたことを表しているのです。

「慣れ」とは、意識したことと同義であるということです。

 

一方、

僧侶の脳波は、音が聞こえるたびに、同じように途切れました。

僧侶は「慣れ」を起こさなかったのです。

 

「また音が聞こえてくるだろう」という考えが浮かばなかったのです。

音がするたびに、そのつど体は反応していた、ということです。

 

脳が、音の刺激に対して反応するのは、反射行動で自然な現象です。

しかし、

反射行動につられずに、僧侶の意識は反応しませんでした。

 

心は惑わされなかったということなのです。

 

ただ音が頭の中を通り抜けていく状態。

瞑想の集中の極致が垣間見えますね。

 

あなたはドン・キホーテだった?

 

HSP気質、チキンな人はどうしても、

「感じまい、感じまい」と感じること自体をいけないことだと思うところがあります。

しかし、

この実験が示すように、感じることを遮断するのは、

どんな人であれ不可能です。

 

不可能なことに挑戦して、風車に戦いを挑むドン・キホーテのように敗れてしまう。

そして、さらに自信をなくす、の悪循環に陥ってしまいます。

だから、

もし「HSP」「チキン」な気質をすこしでも変えるには、

感じなくなることより、

感じた刺激をどう受け止めるか、

のほうがポイントだということですね。

 

感受性が敏感なこと自体は、短所でも、コンプレックスでもありません。

どうぞ、胸を張ってください!

 

 

まあ、「チキン」な人は生まじめで、「キチン」としすぎている人が多いのかもしれませんね。

えっ?シャレではありませんよ。モチロン。

 

おわり

 

参考資料:平井富雄著『禅と精神医学』講談社学術文庫刊