『不老不死』は
長い間の人類の夢です。
でも、 それは
はたして実現できるんでしょうか?
じつは、なんと、
ある生きものに
「不老不死」の能力が
あることが発見されたんです。
といっても、
宇宙人とかオカルトの
話しではありません。
そして、その生きものは
大切に保護されていたり、
特別天然記念物になっている
わけでもなく、
そこらじゅうの
海の中にウヨウヨいます。
その信じられない生きものとは、
これ。
ベニクラゲという
ちっちゃなクラゲです。
体長は1センチ足らずで、
日本近海や世界中の海に
生息しています。
このベニクラゲが
不老不死のカラダを
持っていることがわかったのは、
ほんの30年くらい前のこと。
どこにでもいる
じみーな存在なだけに、
研究者の目に止まることがなく、
最近までこのことに気づく人が
いなかったそうです。
(人間にかかわらず、
自己アピールがヘタなのはソンですね…。)
なぜ、ベニクラゲが
「不老不死」だと
いわれるかというと、
ベニクラゲが
外敵から襲われて傷ついたり、
飢餓の状態になると、
カラダが肉ダンゴ状に変化して
ポリプというクラゲの
赤ちゃんの状態に戻り、
また成長していく、
ということを延々と
くりかえすそうです。
普通の生きものならば
死んでしまうところを、
「究極のアンチエイジング」で
切り抜けるのですね。
ベニクラゲはそうやって
人生(クラゲ生か💦)を
何回もやり直しているそうです。
なんてスゴイ生きものなんだ!
ベニクラゲの惑星?
このベニクラゲも、
他のクラゲと同じように
生殖行動をして子孫を増やすのですが、
そこで
少々心配なことが…。
子孫が増えていって、
しかも不老不死であれば、
海の中はベニクラゲだらけに
なって、
そのうち地球は
「ベニクラゲの惑星」になって
しまうんじゃないの?
と思ってしまいますよね。
ところが、
そうはならないんです。
ベニクラゲは
ゆっくりプヨプヨ、
海の中を泳いているので、
他の生きものに食べられやすく、
また性質がデリケートなので、
水温や水質がすこしでも変わると
若返りのサイクルが発生しなくなるのです。
だから
他の生きものとの
バランスを崩すことなく、
適度な個体数に
留まっているんですね。
ただ、そう聞くと、
わざわざ不老不死のしくみを
身につけたところで
なんのメリットがあるんだろう?
と思ってしまいます。
そもそも、どうして
ベニクラゲは不老不死という
生き方を選んだんでしょうか?
あきらめると死ななくなる?
それは
ちょっと意外な理由だと
考えられています。
その理由はなんと、
「進化をあきらめたから」。
ザックリ言うと、
生きものが進化して
より強く、より賢くなって
いくためには、
死んだ方が有利なのです。
自分たちの種が他の種との
進化の競争に勝って
繁栄するためには、
どんどん世代交代をくりかえして
遺伝子を子孫に引き継ぐ方が
進化が早まるからです。
もしかすると
ベニクラゲは、
そんな生きもの同士の
進化の競争が、
イヤになっちゃった
のかもしれません。
そして
進化のスピードを
落としながら、
ひっそり、ゆっくり、
目立たずに生き残るために、
生まれ変われるカラダを
もつようになった、
といわれています。
はげしく世代交代を
繰り返しながら、
ワガモノ顔で地球に
はびこっている人間とは、
まったく真逆の選択ですよね。
そう考えると、
これだけ繁栄した人間が、
まだ飽き足らずに
アンチエイジングや不老不死まで
追い求めるのは、
そうとう
欲ばりなのかもしれません。
ベニクラゲはゆらゆらと
海を漂いながら、
そんな人間たちを
どう想っているんでしょうか?
もしかすると、
ベニクラゲの選択こそ、
進化した「悟り」のようなもの
なのかもしれません。
(と、哲学的にこじつけてみました。💦)
繰りかえせないからこそ…
今、世界中の研究者たちが
このベニクラゲの生態から
不老不死やアンチエイジングの
秘密を解明しようと
やっきになっています。
ただ、
不老不死が実現する日は
まだまだ先でしょう。
ベニクラゲのように
「やり直せない」私たちが
できるのは、
与えられたカラダを
大切にケアしながら、
一度きりの人生を
健やかに生きる、
それしかない、
ということですね。