前回のブログで、体に宿る自然治癒力を紹介しました。
私たちの持っている自然治癒力は、もう一つあります。
それは、心の自然治癒力です。
漢方医学、アーユルヴェーダ、ホメオパシー、、
伝統医療には、身体と同様に心にも自然治癒力がある、という前提があるのです。
心と身体はつながっている
たとえば、
悩んでいる時、
どうしていいかわからない時、
だれかが助けてくれることがあります。
つらい時に手を差し伸べてくれるのは、なんてありがたいことでしょうか。
いつもあなたに手を差し伸べてくれるのは、だれでしょう。
家族? 友だち?
何人かの顔が思い浮かぶかもしれません。
ただ、ほとんどの人が、いちばん大切な人を忘れています。
それは、あなた自身です。
いつもメソメソ、ダメなワタシ、、?
人間はだれでも自分自身を癒す力を持っています。
その力は身体だけでなく、心も癒してくれます。
あなたの心には、その力が宿っているんです。
たとえば、
「泣くこと」。
オイオイ泣いている人は、じつはそうやって発散しながら、
心の大掃除をしています。
泣いて表現することで、辛い思いを溜め込まずに外に吐き出し、心のダメージを修復しようとします。
「泣く」ことの効用は、医学的にも、心理学的にも、さまざまな分野で研究されていて、心と身体を癒す効果があることがわかっています。
(そういえば、「♪なみだは心の汗だ~」という歌がありましたね。byいずみたく)
そして「ためいき」。
落ち込むとつい、「はぁ~」とため息をついてしまう人。
「ためいきをつくと幸せが逃げる」なんて思っていませんか?
でも、そんなことはないんです。
ためいきは、深呼吸に似ています。
呼吸は、身体と心の状態に深く関係します。
呼吸を調えることで、身体も心も調えてくれます。
ためいきをつくと、息を深く吐きます。そして、その後に大きく吸います。
ためいきをつくと、たくさんの酸素を取り入れて気持ちをリフレッシュすることができるのです。
「ためいきでリフレッシュ?」と思うかもしれません。
そう思う方は、ためいきが出そうな時に、ぐっと我慢してみてください。
もっと息がつまって苦しくなること、ウケ合いです。
こんな世知辛い世の中で生きていると、そりゃ、いろんなストレスがたまります。
その中で、涙もためいきも、体の動作を通してあなたの心を癒そうと、がんばっているんですね。
あなたの心を元気にするはたらき、
そのはたらきを「恒常性」とよびます。
「恒常性」とは、
「環境が変化しても、自分の内部を一定の状態に保ちつづけようとする性質」です。
汗をかいて体温を下げたり、体を震わせて体温を上げたりするのもそうです。
バランスを欠いた状態を正常に戻そうとする機能です。
でも、私たちは、こんな恒常性のはたらきを、涙やためいきのように良くないものと誤解しているようですね。
これも心のはたらき?
役に立たなさそうな行動も、心のはたらきという視点で考えると、
少しちがって見えてきます。
たとえば、
仕事から帰ったお父さんが、ビールを片手に、ぼ~っとテレビを観ている。
ボケーっとだらしないなあ、と思ったことはありませんか?
でも、そんなお父さんの行動にはワケがあります。
多くの女性がおしゃべりや買い物をしてストレスを解消するように、
男性にはその日あった出来事を心の中で整理するために、ぼーっと思考を止める時間が必要だそうなんです。
男性の脳はそういう構造になっているのです。
だから、お父さんに元気でがんばってほしいなら、思う存分にボケーっとさせてあげましょう。
もう一つ。
おばあちゃんの物忘れが多くなってきた時。
だれでも年齢を重ねると、昔のことはよく覚えているけれど最近のことはすぐ忘れる、というようになってきます。
「そろそろボケてきたかなあ」と感じた時、見方を変えてみてはどうでしょう。
日常のやりとりを卒業して、楽しかった思い出ににひたりながら、人生の総まとめにとりかかっている、と見れないでしょうか。
心をおだやかに保つための摂理ではないか、とも思えるのです。
(ただ認知症がすすむと、支えるご家族のご苦労もあると思いますが)
あなたは犬ぞりの操り手?
自分で自分を癒そうとするはたらき。
身体を自動的に調節するのは、自律神経の役目です。
それでは心の方は、どの部分が担当しているのでしょうか?
それは「無意識」です。
涙もためいきも、意識せずに自然とこみ上げるのは、それが無意識からの指令である証拠です。
自覚している表面意識と、その下に隠れている無意識の全体に占める比率は、
1:9とも、無意識の方がもっと大きいともいわれています。
だから、無意識の力はとても強大です。
心を「犬ゾリ」にたとえると、
無意識はソリを引く犬たち、
表面意識(意識しているあなた)は手綱の操り手、といったところでしょうか。
犬たちの力はとても強いのですが、操り手が手綱を握らないと、どっちへ進んだらいいのか、わかりません。
そして皆、主人のあなたが大好きです。
あなたにしあわせでいてほしいと、いつも願っています。
ただ「考えるよりまず行動」がモットーなので、表現が個性的でバラバラで収拾がつきません。
また、とても感受性が強く、ほめられるととてもよろこびます。
叱られるとしょんぼりします。
主人のためにがんばっているのに、あなたが否定してしまうと、やる気をなくしてしまいます。
逆に、感謝の気持ちを向けると、どんどんやる気を出してくれます。
そんな無意識さんたちと仲よくなることで、心の自然治癒力をさらに高めることができます。
植村直己さんを見習おう
最後に、「犬ゾリ」つながりで、
1974年に北極圏を犬ゾリで単独横断した冒険家の植村直己さん。
旅のはじめの頃、エスキモーたちのやり方にならって、犬たちを厳しくしつけていたそうです。
しかしある時、12頭すべての犬たちが氷の平原へ逃げ出してしまったのです。
植村さんはひとり残されてしまいました。
その時、植村さんは死を覚悟したそうです。
しかし、しばらくしてリーダー犬アンナが、他の犬たちを引き連れて戻ってきてくれました。それは奇跡でした。
植村さんは犬たちに感謝し、その日から犬との接し方を一転させます。
犬たちにやさしい言葉をかけて労をねぎらい、凍傷にかかった犬たちの足に、自分の服をちぎって作った靴下を履かせてあげたりもしたそうです。
そうすると、犬たちと植村さんの絆がどんどん強まっていきました。
そして、無事、北極圏1万2千キロを走破できたそうです。
心も、犬ぞりも、一つのチームとしてみた時、よいチームワークがすごい力を生み出すということですね。
無意識さんたちと良い関係をつくる上で、参考にしてみては?
おわり
あなたとお会いできることを楽しみにしています。
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