「心」って身体の
どの辺りにあるんでしょう。
セラピーセッションの時、
「その想いを身体のどこで感じますか？」
と質問すると、
ほとんどの人が「胸」と答えます。
胸のあたりには心臓があります。
「心臓には心が宿っている」
という考えを
時代や地域を越えて
多くの人が抱いています。
そこで今回は
心と心臓（ハート）の関係について
興味深い実話を紹介しますね。
（すこし長くなりますが…）
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アメリカ人のダンサー、
クレア・シルヴィアさんは
重い心臓病を患っていました。
命を長らえるためには
心臓移植が必要で、
順番待ちリストに
登録したすぐ後に
運よく提供者が見つかりました。
提供者は
ある州で交通事故で亡くなった
18才の男性。
それ以上の情報は
当事者には知らされません。
ただちに
何百マイルも離れた病院から
心臓と肺が運ばれ、
すぐに手術が開始されて、
結果は大成功でした。
当時、クレアさんの住む州で
初の手術だったこともあり、
テレビの取材を受けました。
インタビューの時に
「退院したらビールを飲みたいわ」
という言葉が
クレアさんの口から出てきました。
ただ、それは彼女にとって
意外な言葉でした。
ビールを美味しいと
思ったことは一度も
なかったからです。
そんなことも
なんとなく忘れて退院の日を迎え、
やがて普通の生活に戻りました。
そこから
自分の身に起きている変化に
気づき始めたのです。
なぜか大のニガテだった
ピーマンをどんな料理にも
入れるほど好きになったり、
オーガニック志向だったのに
チョコバーをドカ食いしたり、
ファストフードなどめったに
口にしなかったのに、
ケ○タッキーのチキンナゲットが
大好物になったり、
嗜好がまるで
変わってしまったのです。
それだけではありませんでした。
なぜか
自分よりずっと若い友だちが増えたり、
バイク好きの
エネルギッシュな彼氏ができたり、
衝動的に旅に出て、
言葉も通じないフランスを
若者にまじって放浪したり、
以前のクレアさんでは
考えられないような変化が
次々と起こったのです。
そんなある日、
クレアさんは夢をみます。
夢の中で彼女は
若い男性と向かい合っていました。
名前はティム、Ｌが頭文字の姓、
ということがわかります。
そして別れのキスをした時、
その男性の存在を
胸いっぱいに吸い込み、
二人は一体になる、という夢でした。
その時
クレアさんは、
「ティムは私の心臓のドナーにちがいない」
と悟ったのです。
その後、
彼女は無性に「ティム」の家族に
会いたくなり、
手を尽くして、
手術を受けた日付けの
ある新聞記事を見つけ出しました。
そこには手術のあった日に
「ティモシー」という18才の青年が
バイク事故で死亡したことが
書かれていました。
（アメリカ人は名前を
ティモシー→ティムなど縮めて呼びます）
「彼こそ夢で出会ったティムよ」
と確信したクレアさん、
迷いはあったものの、
思い切ってティムの家族に
会いに行きました。
そして
ティムの家族から
聞かされた事実に仰天しました。
ティムはビール好きで、
ピーマンが大好物、
車やバイクが趣味で、
いつも活動的で
動き廻るのが大好き。
まさに
クレアさんに起きた変化の特徴が
ティムのキャラクターそのもの
だったんです。
「中でもあの子の一番の好物は、
なんといってもチキンナゲットだったわ」
ティムの姉がそう言った時、
クレアさんは
「まさか、そんな！」と
驚愕するしかありませんでした。
事故で亡くなった時も、
ジャケットの中にチキンナゲットを
持っていたというのです。
このことが話題になり、
クレアさんとティムの家族は
テレビ番組に招かれます。
でもスタジオの観客や
ゲストの専門家の反応は
否定的でした。
それはムリもありません。
科学や医学では説明が
つかない現象だからです。
しかし、
クレアさんはその後、
臓器移植を経験した人たちの集まりを
主宰したことで、
いろいろな証言を聞くことになります。
たとえば、
人種偏見の強かった白人男性が
移植後、黒人の人権運動に熱心に
賛同するようになったり、
同じ病院で死亡した少年の心臓を
移植された敬虔なクリスチャンの男性が、
麻酔から目が覚めるやいなや、
今まで口にしたことがなかった
罵詈雑言をわめき散らしたのですが、
たまたまその場に居合わせた
ドナーの少年の母親が、
そのしゃべり方が息子そっくりだと
断言したり。
その他、
嗜好や考え方が変わったという例も
数多く集まりました。
それまでは
移植を受けた本人が、
偏見の目で見られるのがイヤだったり、
その変化を自分で
受け入れられない人が多く、
証言が明るみに
出ることは少なかったのです。
やがて
クレアさんは
4年目の移植手術の記念日に
ある夢をみます。
それは
22台のバイクを
猛スピードで走らせる、
という奇妙な夢でした。
でもクレアさんは
それがティムからのメッセージだと
すぐに理解しました。
そして仲間のバイクの後ろに
乗せてもらい、
夕日の街を猛スピードで
駆け回りました。
その時、
彼女の（ティムの）心臓は
躍り上がっていたそうです。
それを境に
クレアさん自身は
「ティム」に支配されない、
元の自分とも違う、
二人が溶け合った「第三の人格」が
根づいていく感覚を覚え始めました。
そして、
まったく別の趣味を見つけたり、
その後長くつきあうことになる
パートナーにも出会って、
現実に根づいた安定した生活を
取り戻したのです。
クレアさんは振り返って
「ティムが夢で訴えた願いを叶えてあげたことで、彼の魂を解放してあげられた。
そして私も新しいアイデンティティを作ることができた」と語っています。
ちなみに
22台のバイクの意味は、
ティムが亡くなったのは18才。
4回目の移植記念日の時点で
彼は生きていれば22才、
その暗示だったそうです。
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ここまで読んで、
あなたは信じられるでしょうか？
すぐには
信じられないかもしれませんね。
最近は「細胞記憶」といって
すべての細胞がその人の記憶を
蓄えている、という仮説も
登場していますが、
証明はされていません。
スピリチュアルな話として
捉えることもできますが、
信じない人には通じないでしょう。
でも、
クレアさんたちに起こったことは
事実です。
このお話しをどう捉えるかは
人それぞれだと思います。
最後に
あくまで一つの参考として、
クレアさんの本に書かれている
もう一つの事例を
紹介しておきましょう。
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ある雨の晩、
ケンカをして
しばらく口を聞いていない夫婦が
車に乗って家路に向かっていました。
気まずい沈黙の中、
車内に響くのは
カチャカチャとなる
ワイパーの音だけ…。
すると突然、
一台の車が飛び込んできて、
正面衝突しました。
夫は即死してしまい、
妻は一命を取りとめます。
夫の心臓は
生前の意思により
他の人に提供されました。
でも妻は
どうしても夫にもう一度会いたい、
という気持ちが消えず、
関係者に頼み込んで、
夫の心臓が移植された若者に
会えることになります。
念願叶って面会した時、
2人は抱き合い、泣きました。
そして妻が若者の胸に
手を置きながら、
「愛してるわ、あなた」
と夫の心臓に語りけたのです。
すると若者はなぜか
くすっと笑いました。
「すみません。
なんだか急に気分が軽くなって。
はじめてこの心臓が軽く感じられたんです。」
若者はずっと移植した心臓が重いと
医師に訴えていたのですが、
「気のせいだ」と
取り合ってもらえなかったのです。
そして別れる時、
思い出したように
若者はこう言いました。
「ひとつどうしてもわからないことがあるんです。
なんだか急に車のワイパーの音にイライラするようになったんですけど、
こればっかりは、あなたでも説明がつかないでしょうね。」
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もちろん
この話も創作ではなく、
実話です。
どう受け止めるかは
さておいて、
幸いなことに
私たちの心臓は、
今も自分の身体の中で
脈打ってくれています。
アタマでは
忘れていたとしても、
秘めた想いはハートの中で、
今も消えずに解放されるのを
待っているかもしれません。
もしあなたがハートに手を当てた時
何かがこみ上げて来るならば、
それを一度、
解放させてあげませんか？
「心の専属トレーナー」がお手伝いしますよ。
参考：「記憶する心臓」クレア・シルヴィア著 角川書店刊
