前回ブログからの続きです。
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私たちが直面する「困難」とは?
内容を振りかえると、
人類は、さまざまな困難に直面してきました。
特に、この数十年で、すべての困難を駆け足で再体験しました。
そして、今は何の困難に遭っているか?
考えて、よりよく生きるヒントを見つけよう!
ということでした。
どうでしょう、何か浮かびましたか?
私はこう考えました。
『飽食』は人類のあこがれだった
今の時代は、『飽食の困難』に直面しているように思います。
いつからか、「飽食の時代」と言われています。
「飽食」は最近の造語でなく、中国の古典にも出てくる言葉だそうです。
その意味は、
① 飽きるほど十分に食べること。
② 食物に不自由しないこと。生活上の苦労がないこと
(大辞林第三版より)
でも、十分に食べたり、生活の苦労がないことが、なぜ「困難」になりうるのでしょう?
それは、人間が今まで「毎日がおなかいっぱい」を経験したことがないからです。
経験がないと、さじ加減がわかりません。
人間はもともと「飢え」に適応する力が備わっているそうです。今までの大半の時間は「飢えていた」からです。
お腹いっぱい食べて、快適に暮らすのは、人類のあこがれでした。
でも、それによって、かえってペースを乱される人が増えているのです。
「飽食」になると、人間の快適さや幸せを感じるセンサーが未知の数値を感知して、イカれてしまうのではないでしょうか。
もちろん中には、今でも生活に困窮している人はいます。
それも元を糺せば、人間の欲を刺激する「飽食モード」に踊らされた社会の反動が、弱い立場の人々に降りかかっている、と思えるのです。
オレの背中が泣いてるぜ、、。
戦中、戦後世代の人たちは、日本を豊かにしよう、子どもにひもじい思いをさせまい、と、一生懸命がんばりました。
その背中を見て育った子どもは、「ありがたいなあ」と思ったり、さまざまな想いを感じて育ったでしょう。
しかし、そんな子どもが親になるまでには、ある程度、豊かさが浸透してきました。そして、その親の背中を見た子どもは、さらに豊かな時代を背景にして育ちました。
そうやって、わずか2代で、価値観がガラッと変わってしまいました。
戦前・戦中世代から2代後の子どもは、物が豊かで腹いっぱい食べられる日常が、価値観の出発点になりました。
上の世代の人々は、そんな彼らの価値観に、理解不能の白旗を上げてしまいます。
だからといって、「今の若いモノは!」と、批判していいものでしょうか?
子どもは、刷り込まれた情報をそのまま吸収しているだけです。
子どもは素直なのです。
以前、小学生が魚の切り身が海を泳いでいると思っていた、という話が話題になりましたが、彼らにとっては、それもごく自然な発想なのかもしれません。
目の前の豊かさは「あれ、ちょっとおかしい?」という気づきから、眼をそらさせてしまいます。
食べすぎで慢性病になる、便利な生活と引き換えに環境が汚染される。わかってはいるけど、おいしいお菓子に手を伸ばしてしまう、ちょっとそこまで行くのに車を使ってしまう、、。
誘惑に、つい気を許してしまいます。
本当にやっかいですが、ワタシも他人のことは言えません。
「飽食」は本当にタチの悪い困難です。
それを肌で感じている、と思う
「飽食」の心地よさには、人間を足腰から弱らせる危うさが潜んでいます。
それに気づいている人もいます。
「ニート・引きこもり」と呼ばれる人々は、それを肌で感じている、と思うのです。
ニートや引きこもりになる原因はさまざまです。
親に依存してずっと自室で過ごせるのも「飽食の時代」だからこそ可能です。
そんな生活がうらやましい、、と言う人がいるかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか?
もしそうならば、ニート・引きこもりの人たちは、もっと幸せそうにしているはずです。
でもそういう人にはあまり会ったことがありません。
むしろ、ほぼ全員が精神的に追いつめられています。特殊な例では事件の加害者になってしまったケースも、先日報道を賑わしたばかりです。
ニート・引きこもりの皆さんが、社会や家族とのつながりを頑なに拒んでいる姿。
私には、
引きずり込まれて、逃げ出せなくなった「飽食」のワナに、これ以上巻き込まれないよう、必死に抵抗しているかのように見えてしかたないのです。
自己防衛本能の表れ、とさえ感じられます。
そういう意味で彼らは、この時代の危機を先読みしているかもしれません。
もう午後6時。おなかすきましたね。
満たされているけど、どこか空虚だ、と感じる時、
「飽食」について考えてみると、なにか糸口が見つかるかもしれません。
関係ありませんが、私は最近、1日2食で、間食もやめました。
「飽食」を克服しようとしているわけではありません。たんなる食生活の見直しです。
1日2食にして、いちばんよかったと思うのは、
晩ご飯がおいしいこと。これに尽きます。
空腹は、健康の妙薬だ、と言いつつ、つい晩酌の量が増える、この頃、
夜だけは「飽食」のトリコになる、ワタシです。
おわり