「外の顔」に疲れたあなたへ

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ある日のこと、

セラピールームのポストに一枚のはがきが届きました。

なんと、一週間後に水道が止まる、と書いてある!

 

そういえば、しばらく水道代を払っていないことに気がつきました。

支払い票をチラシと一緒に捨てていたようです。

水道事務所に電話してみると、すぐに郵送してくれるとのこと。

なんとか水道を止められないで済みました。

 

その電話に出た男性の応対はとても丁寧で、慣れていました。

これぞ電話応対、という模範的なしゃべり方でしたが、違和感はありませんでした。

ただ、

なぜか後で、ふと思いました。

「あの男性はいつも、あんなしゃべり方をしているんだろうか?」

 

まさか、そんなことはないでしょう。

家にいる時も同じように話しているとは思えません。

だれだって、仕事中とプライベートが違うのは当然です。

でも、これをきっかけに、そんなあたりまえのことが、とても不思議に思えてきました。

 

インドで見た、接客の極意?

いきなり話は飛びますが、

はるか昔に海外放浪をしていた時、

どの国でも、日本のお店にいるような愛想のいい店員さんには、めったに会いませんでした。

日本人から見るとドライな接客が、世界の標準です。

それに慣れて日本に帰り、あるお店に入った時、なぜそんなに丁寧に接してくれるの?と驚いたぐらいです。

 

ちなみに、これはインドの街で通りがかった時計店でのワンショット。

足が店番をしているわけではありません。

ショーケースの向こうで、店員さんが昼寝をしていました。

「ああ、暑いし、眠いから昼寝してるんだろうね」とすんなり理解できました。

インドでこういう風景に出会っても、あまりおどろきません。

でも、もしこれが日本ならば、この人は店の主人に大目玉をくらうでしょう。(この人が主人なのかもしれませんが)

でも「ところ変われば、、、」なので、このインドの足の主と水道事務所の男性を比べるつもりはありません。

 

めんどくさい時はめんどくさい、いやな時はいや、

その感情を表に出さずに満面の笑顔ができるのは、日本人ぐらいではないでしょうか。

でも、そうやって気持ちを隠してがんばって、評価される一方、ストレスもたまります。

ムリして笑顔を作って、「お・も・て・な・し」をほめられる、、。

このジレンマはやっかいです。

 

あなたの「役柄」は?

だれでも一歩でも家の外を出ると「外の顔」になります。

何かしらの役を演じている、ともいえます。

 

たとえば仕事中は、

部下の顔、上司の顔、営業スマイル、好きでもない人に愛想笑い、など。

 

お客さんの時は、

高飛車になったり、うるさい店員を無視したり、よくばってみたり、、。

もしかしたら家の中でさえも、

父親、母親、妻、夫、息子、娘、それぞれの顔を多少なりとも演じているかもしれません。

 

そうすると、自分の本当の顔ってどれ?

まさか、寝ている時のマヌケ顔だけ?

 

考えるほどわからなくなってきます。

 

ご近所あいさつの心理

 

多くの人にとって一日の始めの「外の顔」は、ご近所とのあいさつです。

譬えはよくないかもしれませんが、ニュースによく出る、犯人の近所に住む人のコメントは、

「会えば挨拶してくれるし、いい人だと思っていたのに」か、

「すれちがっても挨拶しないし、近所づきあいはありませんでした」

大抵、この2つのどちらかのような気がします。

 

近所付き合いを面倒に思う人が多いとはいえ、あいさつを「踏み絵」にして「いい人悪い人」を判断するのは、一般的な感覚です。

あいさつは、

「あなたの存在を認めていますよ」

「私はあぶない人ではありませんよ」、

という意志表示でもあります。

もっとも、あいさつぐらいは近所付き合いの内に入らないと思いますが、、。

ご近所のあいさつが苦手な人は、家から出て、内の顔から外の顔へ変わっていく過程を見られたくないのかもしれません。

ならばいっそ玄関を出る前に、一瞬で顔を変えるといいかもしれませんね。

仮面ライダーのごとく、「ヘンシン、トォッ!」と、、。

 

「顔」じゃないよ、こころだよ。

 

いろいろと「外の顔」について書いてきましたが、

この「外の顔」の捉え方をかえてみることで、対人関係の悩みを改善できる人もいるのです。

 

マジメな人ほど「外の顔」がその人のすべてだと錯覚してしまいます。

すると、トラブルが起きた時、相手の攻撃をまともに受けて止めて、おもいっきり傷ついてしまいます。

しかし、

「外の顔」は、ある意味「反応」です。

それは過去の体験と、それから始まる思い込みから作られます。

昔の出来事と似た状況になると、目の前の相手によって「反応」し、記憶が心の底からよみがえって突き動かしているにすぎません。

たとえば、

激しい口調で攻撃してきたあの人は、24時間いつも、あんな調子でしょうか?

家でも一人で怒っていたら、それこそ妄想の世界の住人です。

ということは、「外の顔」としてそういう態度をとっているとも言えませんか?

あの水道事務所の男性にしたって、

お客さんからの電話に丁寧に対応したらうまくいった、という過去の経験から電話応対のスタイルができていったのではないでしょうか?

 

あまり理屈っぽく考える必要はありませんが、そうやってだれでも「素の顔」とはちがう「外の顔」が出来上がります。

 

だれもが反応して、意識して、あるいは無意識にでも「外の顔」を演じます。

目の前にいる人には、かならず「素の顔」が隠れているということです。

もし「素」と「外」の区別がなかったら、その人はとてつもない人格者のはずです。

 

そう思えば、イヤな相手も「こころの中は逆かもね」と想像してみるだけで、気持ちが大きくなって「ゆるせる気持ち」が出てきます。

そして、その想像が全然外れている、ということはほとんどないでしょう。

 

インド人もビックリ?

「ていねいな外の顔」文化に慣れている私たち。

「外の顔」に終始すると、どこか寂しさを感じませんか?

もし、あなたが「人って冷たい」と感じる時は、他の人も同じように感じているかもしれません。

そんな時こそちょっと勇気を出して、すなおな気持ちを表現してみてはどうでしょうか。態度とか、しぐさで。

はじめは、サラッと肩透かしを食らうかもしれません。

でも、それを受けた人は必ず、あたたかい何かが残るはずです。

次に会う時は、その人との距離が少し縮まるかもしれませんよ。

 

 

そして、足の裏を見せるだけで気持ちを表現できるようになったら、

あなたは「外の顔検定」に合格です!?

 

おわり

 

あなたとお会いできることを楽しみにしています。

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