今まで見た中で、最高の日の出。
太陽と自分を結ぶ一直線の光の筋が、海の上に現れている。写真でわかるだろうか?
海での日の出はこういう現象が現れることをはじめて発見した。
●2時間かかって、室戸青年大師像に着く。
室戸岬で修行された弘法大師の当時の19歳のお姿の像が建てられている。
拝観料300円がかかるとのこと。
ハーさんも一緒に行くと言うので、像のふもとまで昇り、一緒に参拝・勤行する。
足元の建物内部はたくさんの菩薩像が展示されていていた。
ハーさんが一言。「ここは観光客向けみたいだね」
●大師像からすぐの所に、御厨人洞(みくろどう)はあった。
ここが、弘法大師が求聞持法を成就された場所と言われる御厨人窟。
成就した時のことを、「三教指帰」において、弘法大師自らこう記されている。
『土佐室戸崎に勤念す。谷響きを惜しまず、明星来影す』
室戸岬のとある場所での修行中、明けの明星が弘法大師の口の中に飛び込んできた、という。
この意味するところは何だろうか?
諸説あるが、求聞持法を成就された時、弘法大師の体内で大きな変革が起こったのではないかといわれている。
まさに天才空海の誕生の瞬間だ。
期待を膨らませて、どんな所かと思っていたが、3年前から洞窟内の岩崩れが起こり、今は立ち入れないようになっている。
少し前まではあまり厳重に柵をしていなかったのだが、最近は完全に入れなくしているそうだ。
国道沿いの狭いスペースに入れ代わりに参拝者、観光客が訪れ、聖地と言うよりも、観光地、と言う趣になっていた。
洞窟は2つあり、こちらは弘法大師がここで生活をされていたと伝えられる御厨人窟。
もう一つは、ここで求聞持法を成就したとされる神明窟。
一度お参りして、納経所でご宝印をいただく。
どこか、よい気を感じられる場所を探して、国道を渡り、海に面した岩場へ行ってみる。
そこには弘法大師が使われたという「行者の池」があった。
少し歩いて探すと、遊歩道から海の方へ少し入れるようなスペースがあり、目の前に波しぶきを見ながら座れる場所を見つけた。
昼間なので、日差しは強いが、菅笠をかぶったままでいれば問題ない。
岩場でも瞑想の姿勢をとれるよう、靴下をくるぶしと岩の間に挟んで坐る。
弾ける波と海風を感じながら、瞑想をしてみた。
誰も来ない海に向かって瞑想したのははじめてだ。
もし今度来れるとしたら、日の入りの時間か、日の出の時刻に、もう一度瞑想してみたいと思う。
御厨人窟に戻ってみると、先ほどまで入れ替わり立ち代わり訪れていた人の波が消え、ちょうど誰もいなくなっていた。
瞑想を終えたすっきりとした気持ちで、19歳の弘法大師がここで修行された姿を思い浮かべながら、再び手を合わせる。
ハーさんは、マイケルさんが先で待っているため、先に1人で二十四番 最御崎寺に向かっていた。
御厨人窟から山道を登って、
●二十四番札所 最御崎寺(ほつみさきじ)に到着する。
最御崎寺には、自転車で参拝する人が多くいた。参拝者全体も数が多い。岬の突端なので、多くの人が目標にするのだろう。
これから歩く、室戸岬の西岸が見える。
●二十四番札所 津照時に到着
山門をくぐった後、ものすごい急な階段が現れた。
本堂でハーさんと再会。
参拝中、無音でお参りしているのだが、ハーさんはだまってとなりに並び、敬虔な面持ちで一緒に祈ってくれている。
お経は読めないが、ハーさんの真摯な気持ちが伝わってくる。
山門を出た所の港に続く階段でおそい昼食をとる。
一日歩いても、店は一つもなく、ハーさんは朝食のおにぎりを一つ残したのを持たせてもらっていて、それでしのいだ。
こちらは、非常用で持っていた携帯健康食品を食べる。
ハーさんはマナーにとても気を遣う。
参拝が終わって食事の場所を探していた時、「ここはお寺の境内だからほかへ行こう」といったり、私が階段に腰かけて食べようとした時、「ここは階段だよ」と躊躇しかけた。連れのマナーの悪い日本人(私)が、ここならば人がほとんど通らないから大丈夫と、腰かけたのでつきあって坐ってくれたが。
とても真剣にお遍路の旅をしている姿勢がわかる。
日本の文化が好きで、日本人の礼儀作法を見習おう、としているようだ。その姿勢を見て、こちらが襟を正される思いだった。
室戸岬の西側に来ると、海の色が緑色に変わったようだ。東側は青かった。
ラストに1キロ強の山道の洗礼を受け、二十六番 金剛頂寺までは上り坂。
ハーさんは休み休みで何とか切り抜けた。ハーさんにとって、登りの山道はもう限界のように思える。
午後4時50分 金剛頂寺の宿坊に到着。
おそくなったので、お寺のお詣りは明日に回すことに。
巨大な宿坊で、お寺の内部を共有する形で建てられている。宿坊入口から自分の部屋までは、迷路のような廊下を歩いて3分はかかる距離がある。途中、池やお寺の内部を見ながら、歩くことができる。
今日の泊まりは30名ほど。
これでも多くはないそう。
外国人は計5名。外国人グループと一緒に食べる。
カタコト英語で、食文化の説明。かつおの藁焼きの説明には苦労した。
噂には聞いていたが、ここの宿坊の食事はすごい。
刺身が山のように出てくる。外国人たちはびっくり。
海外では、刺身は超高級品だそうだ。
ちなみにカツオは英語で「ボニート」というらしい。
「ボニータ」というと「メキシコのかわいこちゃん」という意味なので間違えるな、と教えてもらった。
マイケルさんは、御厨人窟の前に立った時、窟の中から、何かのバイブレーションを感じたそうだ。
それは空海の?と聞いたが、それはわからない、と言っていた。
そういうバイブレーションを感じられるようになったのは、生まれつきでなく、インドネシアに住んでいる中国の人から「チコン」という修行法を教えてもらい練習しているうちに身についたらしい。
「チコン」が日本語でなんというかはわからない。
明日は20キロほどの道のりなので、さほどきつくはないだろう。