土佐路を行く⑥ 〔雨の歩きは楽しい?〕

更新日:

(29番 国分寺 → 32番 禅師峰寺)

今日は暑い雲に覆われている。1日中雨になるらしい。

6時50分出発。
朝は今にも降り出しそうだが、まだ持ちこたえている。

今日はできれば三十三番まで参拝したい。道のりは約35キロだが、ほぼ平地なのでいけるとは思う。

 

朝もやで遠くの山も霞んで見える。

小さな川の水位が上がっていた。山の方でもう雨が降っているのだろうか?

まもなくこちらでも雨が降り出した。
ポンチョを着用する。

ネギのようなものを栽培しているビニールハウス。

外は雨が降っているのに、ビニールハウスの中で散水していた。

 

雨の中、ポンチョを着て、緑の中の小道を進むのは、結構楽しいものだ。普段は1羽でしか見かけない鷺が、まとまって田んぼにたたずんでいる。

雨の中、車の多い道を歩くなら気が滅入るところだが、田んぼの中を歩いていると楽しい気分になる。

 

9時20分ごろ、

●二十九番札所 国分寺に到着。

 

雨の日はポンチョを脱いだりと、お参りするのに余計に時間がかかる。

納経所のお接待でコーヒーをいただきながら、庭園を眺める。

引き続き、田んぼのあぜ道を歩く。

 

 

左足のくるぶしの近くがとても痛くなってきた。

歩いていると毎日、必ずどこか1カ所は痛くなってくるような気がする。

しばらく慣らしながら歩いていると、それがだんだん気にならなくなる。

ここさえ痛くなければ、と言う体の部分が毎日必ず出てきているような気がする。

そこを自然にかばうように歩く。そうするとその負担が他に行き、また他の部分が痛くなる。

そうやって痛みの場所が循環して体が徐々にバランスをとっていくのだろうか。

 

そう考えると足の痛みというのも、体の摂理の1つといえるのかもしれない。

などと考えていると、蛙が田んぼの水路にぽつんと飛び込んだ。

 

昨日から抜きつ抜かれつの、ゴールデンウィークだけのお遍路の方とまた出会う。

よく道を間違えるそうだ。歩いている時はよく考え事をするので、曲がり角で考えていると目印を見逃して迷うらしい。

みんな同じことをやっているなぁ。

 

じきに、高知市に入ったようだ。

●三十番札所 善楽寺に到着。

途中の道は誰にも会わなかったが、お寺の中に入ると、たくさんの参拝者がいる。

お参りの時、それぞれが声を出してお経を読んでいるので、本堂の前などは輪唱合戦のような状況になる。

他の人がすぐ近くでお参りしている時は微音で読経するのが礼儀ではなかろうか、とも思うのだが、実際、他人に遠慮している人はだれもいない。

もっとも、声を出さないと他の人の声に惑わされて、自分がどこを読んでいるか分からなくなってしまいがちだが、、。

参拝後、昼休みを取ろうと思って、屋根のある場所を探しながら歩いたが全くなく、結局、竹林寺の手前まで来てしまった。

公民館の軒下がやっと見つかり、さぁ、竹林寺行こう、と歩き出した。
しばらく行っても遍路道の目印が見つからない。1、2キロ歩いただろうか。これはおかしいと思い直し、来た道を逆戻りする。
途中分かれ道のところで聞くとやはり右と左を間違っ言っていた。
行ったり来たり、1時間くらい迷っただろうか?

そういえば、第一日目に三番金泉寺でご宝印をいただくのを忘れて、10キロ以上往復して引き返したことがあった。

今思うと、あの時のことが、もう半年前ぐらいのように感じる。

このブログを毎日読んでくれている人は、ほんの2週間前の事と言う感じであろうが、当事者としては、こちらの時間では、沢山の時間が流れたような感じがする。

環境によって時間が違うスピードで進むという意味では、もしかすると、これは、アインシュタインの相対性理論にも関連あることでは無いだろうか?(妄想おわり)

 

竹林寺は、100メートルほど上る山道が待っていた。

山を登りきると、なぜか植物園の中に出た。ぐるっといろんな植物を見て回り、横からお寺の入り口を見つけた。

この道で正しかったのだろうか?

●三十一番札所 竹林寺に到着

雨が激しくなり、リュックの置き場所に苦労しながら参拝する。
道に迷ったせいで、時間が押していまい、急いで次の三十二番へ向かう。
同時に雨も激しさを増して、あたりも暗くなりはじめる。

 

途中、道の真ん中で、近寄ってもじっと動かないイモリを発見。

雨が降ると、爬虫類は気が大きくなるようだ。

 

三十二番へ登る道。かなり暗く、迫力満点だった。

●三十二番札所 禅師峰寺に到着

ここは、空海が求聞持法を修された、という記録が残っている。

お寺の方に聞いても、具体的に何をされたのかは、ご存じでなかった。

時間も遅くなったためか、ほかのお寺では沢山いた参拝者も、なぜか、だれもいない。

 

大師堂で勤行をしている最中、ふと、「空海は生きている」という言葉が頭に浮かんできた。

今ここに、というよりも、次元の違う世界でずっと、存在し、活動されている、という感覚だ。

こういう閃きは、時間を気にして気持ちが急いているのも関係ないのだな、と感じた。

 

本堂の写真を撮るのを忘れ、下りてから看板を撮る。

 

さあ、宿までまだ7キロほどあるが、既に時間は4時半。急ごう。

途中で、車から降りてきた若い女性が缶ジュースを渡して、がんばってくださいと言ってくれた。

お礼に納め札を渡す。缶はとても冷たく、たった今買ったようだ。

遅くなりそうなので、宿に電話を入れて、今から浦戸大橋を渡ると伝えたら、渡し船に乗ってきてくれ、とのこと。

橋を渡ると時間がかなりかかるそうだ。

そうすると、八十八ヶ所を歩き通すという計画がだめになるのでは?と思ったが、よく考えれば、最近まで浦戸大橋のような大きな橋はなかったのだから、昔ながらの渡し船の方が、正式な遍路道だと思い、計画を変更する。

 

船の発着場で待つこと20分。

待っている間に、昨日フロリダ2人組が泊まった民宿の人から、電話がかかってきた。

何ごとかと思ったが、マイケルさんにマッサージをやってもらたら、「とても体がほぐれて調子がよくなった。ありがとう、と伝えてほしい」ということだった。

「マイケルさんは鍼灸の先生なんですよ」と言ってもにわかには信じてもらえなかった。

 

渡し船がやってきた。なんと料金は無料。

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左の奥のほうが高知市街。

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10分かかって対岸へ到着。

 

 

 

渡船で渡った先は、静かな町並み。ひっそりと夜を迎えようとしている。

 

気がつくと、対岸に渡ったら雨が止んでいた。

左へ行くと桂浜と言う標識が出ていた。

 

結局、7時10分頃、宿に到着。

 

三十三番 雪蹊寺のすぐ前にある。明日は雪蹊寺の参拝から始まる。

 

フロリダ二人組はすでに到着していた。

宿の人に聞くと、やはり、浦戸大橋は50年前に建設されたので、昔からの遍路道は渡し船が正式な道、とのことだった。

 

あなたとお会いできることを楽しみにしています。

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