伊予路を行く⑥ 〔女性との出会い、極まる!〕

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(45番 岩屋寺)

高原の朝は、霧に包まれている。

 

6時に出発。
昨夜泊まった宿にリュックを預けて、身軽になって四十五番札所へ向かう。

朝はさすがに、少し肌寒い。

昨日も通ったトンネルを抜けると、そこは幻想的な霧の世界だった。山並みと霧が織り成す風景は、見とれるような美しさだ。

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昨日までで、四十四番の参拝が終わり、全体の半分のお寺を廻ったわけだが、それについて特に感慨はない。

 

畑野川の近くで、また歩き遍路の女性一人とすれ違った。

昨日から女性お遍路さんと出会う数が多い。

昨日の宿にも、年配の女性歩き遍路さんが、素泊まりで泊まっていたようだ。

 

しばらくして、舗装路から山道に入る。アップダウンを繰り返して、いかにも高原、といった風景の道を進む。

八丁坂までは、急な登りになった。

そこから四十五番岩屋寺は約4キロ。

 

きつい登り道には、いろんな励ましの言葉が書かれている。

硬派なもの。

 

癒し系?

 

意外と現実的なアドバイスも。

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険しい下り坂を行くと、荒々しい岩の壁に、巨大な不動明王が鎮座されていた。

その横に「逼割禅定」の入り口があり、錠前の鍵がかかっていた。

先に逼割禅定に着いたようだ。

逼割禅定とは、岩屋寺の奥の院とも言われ、空海も修行された行場のこと。

すごく峻厳な雰囲気だ。

 

一旦通り過ぎて、本堂へ向かう。

かなりの距離があった。

 

奉納されている、沢山の石仏。

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9時前に、

●四十五番札所 岩屋寺に到着。

崖にへばりついて本堂が建っている。

素晴らしい雰囲気。

たくさんの人がお参りに来ていたが、下の参道から登ってくるのだろう。外国人も多かった。

 

参拝後、逼割禅定の鍵をお寺の方にもらう。300円を払う。

三十六童子の参拝と逼割行場の参拝がセットになっている。

大体、1時間半ぐらいはかかるという。

納め札をもらい、すべてに名前を書き入れている最中、他の女性がやはり逼割禅定の鍵を借りて行った。

下を向いて書いていたので顔は確認しなかった。

意外と逼割禅定に行く人はいるのだなあ、と思いながら、書き終えて、山門へ向かった。
先ほど下ってきた道をまた上っていく。

 

三十六童子が点在されている急な上り坂を少し上ってお参りし、少し上がってはお参りし、の連続で息が切れる。

 

短い距離で次々と、石仏が鎮座されており、意外とこれがきつかった。

もうそろそろ終わりになろうとするところ、後から先ほど鍵を借りたと思われる女性が速いペースで追いかけてきた。

お参りを始める前に、どこかで納め札に名前を書いていたのだろうか。

先に道を譲った。

その人の顔を見るとなんと、昨日、峠の後に休んでいる時、追い越した女性だった。

女性が多いな、と感じたきっかけになった人だった。

 

三十六童子に続いて、先ほど通り過ぎた巨大なお不動様に参拝。

 

そして逼割禅定の鍵のかかっていた入口に至る。

 

鍵のかかる扉の先は、一人がやっと通れる位の岩の間をよじ登っていくようになっている。

先に、例の女性が入って行ったので、すぐ後に入るのもどうかと思い、その女性が出てくるのを10分ほど待った。

しかしあまり待っていると後のスケジュールにも響くので、途中まで行ってみようと思い、中へ入る。

これをどうやって登るのか、と言う位の急坂をよじ登る。

 

ここを上った後、少し平地があり、そこで少し待っていた。すると、女性が鎖場から降りてきた。

岩の陰になって姿は見えなかったが、かなり大変そうな声を上げて、やっとのことで降りているようだ。

梯子を降りた際にバックの中身をぶちまけてしまったようだ。

こちらに下りてきた時、「後で閉めますから鍵を預かります」と言って、錠前を預かった。

女性も「まだ上がありますから頑張ってください」と言って下りて行った。

 

昨日会った時はこちらが話しかけても、一人での女性遍路旅だからか、ちょっとそっけない感じがしていた。

その後、四十四番大宝寺で見かけた時も、あってもあえて話はしなかった。

しかし、この行場で話をした時は、表情がほころんでいた。

 

じつは、なぜ、こんなにその女性との出会いについてくわしく書くのか、それには理由がある。

それは、この看板を発見したからだった。

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空海がこの地を訪れる前までは、ここは「法華仙人」と呼ばれる行者の修行場だったそうだ。

通力を身につけ、空中を飛ぶこともできたという。

驚いたことに、その「法華仙人」は女性だったということが、参道の看板に書かれてあったのだ。

この岩屋寺の発祥となった逼割禅定の行場は、女性仙人のテリトリーだったのだ。

伝説によると、この行場で、弘法大師に通力を披露し、その後のやりとりで弘法大師に帰依して、この地を譲ったらしい。

後で話を聞いた参道の売店の店員さんも、この話はよく知っていた。

これも伝説だが、どうやら土佐の国から来た仙人さんだったらしい。

 

この伝説、昨日から突然、女性ばかりに会うようになった偶然とは、何か関係があるのだろうか?

果たして何かのシンクロと捉えていいのだろうか?

何を大げさな、

と言われると思うが、そう感じさせるほど、不自然なくらい女性の遍路さんと会うことが多くなったのだ。

その会い方も仕組まれたようなタイミングが続いたのだ。

 

思い返してみると、例えば、例の女性が昨日、自分を追い抜いた時、健脚そうには見えなかったのに、こちらが峠を降りてきて休憩を始めた途端、追い抜いて行った。

その時は、どこか見えない所で休んでいていきなり出てきたのか、とも思っていたが、思い出してみても道端で休めるところはあまりなかったと思う。峠だったので家もほとんどなかったはずだ。

考えてみれば不思議なタイミングだ。

 

そして、後で複数の人に聞いたが、岩屋寺の参拝者で逼割禅定まで行く人はめったにいないそうだ。

それが、女性と自分がほぼ同時に鍵を借りて、女性が先導する形で先に入っている。

まさか、自分のためにこの状況がお膳立てされたとは思わない。

しかし、空海の残された聖蹟をめぐりたいという思いが何かに感応して、自分にとってのシンクロを呼び起こすことになったのだろうか?

ちょうど四十四番、四十五番のお寺のあるエリアに入る峠を越えたところで現れ、岩屋寺の奥の院、逼割禅定で、にこやかに錠前を渡された。

ますます不思議に思えてくる。

 

あの女性は、法華仙人の化身だったのだろうか?

 

逼割禅定の場所で、法華仙人が空海にこの場所を明け渡したという故事の再現がなされたのだろうか?

チャンネルが合えば、いくらでもいろんなタイミングの奇跡を起こせるような容量を、この宇宙は持っているのではないだろうか?

と思わせるような出来事だった。

 

とりあえず、女性に錠前をもらい、鎖場をよじ登って、最後のはしごの階段を登りきる。

 

その上の山の頂に着いた。

祠の向こう側にはおそらく石鎚山であろう、気高くそびえる山が遠くに見える。

 

ここもまさに聖地の空気が流れていると感じる。

しばし景色を眺めて、はしごと鎖場を降りる。入口の錠前をロックした。

 

その後、本堂まで下りて来て、本堂の横に設置されているはしごに上った。

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上から、山が見渡せた。

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最後に、穴禅定と呼ばれる真っ暗闇の洞窟の中に、弘法大師作と伝えされる不動明王様を参拝した。(暗いので、写真は無し)

先ほども書いたが、参道でショウガの粉末を売っている店員さんに、逼割禅定に行ったことを話すと、あそこまで行く人は滅多にいない、と言っていた。

そして、本堂の横のはしごでも逼割禅定のはしごでも、以前、人が転落して亡くなったことがあるそうだ。

それほど、うっかりすると危ない場所だそうだ。

 

岩屋寺、とても充実した参拝が出来た。

この岩屋寺は、南予と瀬戸内の道の転回点にあるという。

 

ここから瀬戸内への旅がまた始まるのだ。

先ほど鎖場で一度、足を滑らせ、肘やお尻をしこたま打った。そして逼割禅定で体力を使い果たしたらしい。

お寺のふもとのバス乗り場で、ぐったりと昼食をとっていたら、外国人の女性がやってきた。

ここでバスを待つと言う。

出身を聞いてみると、なんとまた、デンマークの人だった。

昨日もデンマークの女性と話したよ、と言うと、最近デンマークのテレビで、四国のお遍路紹介番組を10回シリーズで放映したところ、それが大人気になり、実際に日本にお遍路に出かける人が増えたそうだ。

デンマークの歩き遍路さんが多い理由がわかった。

 

その女性と別れ、荷物を預けてある昨晩の宿に向かう。

もうすでに午後1時近くになっている。今日予定した宿までたどり着くのは無理かもしれない。

とりあえず急いで歩く。

 

気温はかなり高い。ここは来た道と同じ道を戻るので、岩屋寺に行く人と何人かすれ違う。今度は男性、2人だ。

途中、例の女性が前を歩いていて、また追い抜いた。

やはり仙人の化身でなく、実在している人だった。

ほっとした。

 

リュックを受け取るために、昨夜の宿に戻ったのは午後3時前になってしまった。

宿の奥さんと話す。こちらにお嫁に来て、前は四十四番大宝寺の近くに住んでいたそうだ。

あまりの神秘的な雰囲気に、この近くには天狗がいる、と思っていたそうだ。

神秘的な空気をお寺の近辺や自然の中に感じているらしい。

全く同感だ、今日までの聖地の話や、岩屋寺のことを話した。

やはりこの奥さんも、奥の行場に行く人は滅多にいない、と言っていた。

同時に2名が逼割禅定に入るのは、大変珍しいことだったのだ。

この奥さんにも、何か共通する感性を確認できた。

位置的には、宿の選択を間違ったと思っていたが、こういう人との出会いのためのご縁だったのだろう。

 

今日の宿に電話をすると、今からをここ出ると、宿に着くのはかなり遅くなるらしい。

しかし午後8時ぐらいまでは夕食を用意してくれるそうだ。

ご厚意に甘えて、なるべく早く着くように歩き出す。

三坂峠を越えて、下りの峠道を明るいうちに通らなければならない。

リュックを取りに昨日の宿に引き返したおかげで、再度、あの女性を追い抜くことになった。

ここまでくると、あちらも「また?」という感じになってくるようだ。

シンクロの話は、こちらが勝手に考えていることなので、軽い挨拶だけで通り過ぎる。

 

追い抜く手前で、自販機で水を買い、ふと、後ろを振り返ると、後にも別の女性の遍路さんが歩いているのが見えた。まだ女性お遍路さんたちとの縁は続くのか、としばし茫然とした。

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しかし、まさか、あの女性が夜までかかって、遠い宿まで行くことはないだろう。

このすぐ先に一軒だけある、宿に泊まるのだろう、と思っていたが、

休憩所でまたまた会って話を聞くと、なんと、峠を越えて同じ宿に泊まるらしい。

「遅くなるならば、電話をしといたほうがいいですよ」とアドバイスをした。

その後先に1人で歩く。

その女性が、暗くならないうちに峠道を抜けられるだろうかと、ふと心配になった。

 

峠の途中で、突然サイレンが鳴ったと思ったらものすごい爆発音が聞こえた。

なんだと思ったら、砕石場から石を取り出すために火薬を使って岩を破壊しているらしい。

 

三坂峠を越えて、下りの山道に入る。もう夕暮れの気配だ。

木の間から、これからを下りていく街並みがかすかに見える。

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村の田んぼの中を通る。

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峠の反対側では、峠道が下る方向に川が流れて行っている。峠の前までは、川が来た道を戻るようにな方向に流れていた。三坂峠は分水嶺のようだ。

歩き続けて午後6時40分、なんとか日暮れまでには宿に入れた。

充実した1日だったが、疲れた。

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宿には大型バス2台で団体宿泊客が40人ぐらい泊まっていた。

遍路宿ながら、部屋数も多く、かなり大きい規模で経営している。

夕食を食べていると、例の女性も到着したようだ。同じ峠道を通ってきたらしい。

暗くなる前に着くことができたそうだ。

 

まったく不思議な一日だった。

 

明日は宿のすぐ前にある、四十六番札所の参拝から始める予定。

 

あなたとお会いできることを楽しみにしています。

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