時々、昔の心配事が、よみがえってくる。
今はもう終わったことで、考える必要もないのに、だ。
フラッシュバックするという感じだろうか。
もう忘れた、と思っていることでも、表面的に認識していないだけで、じつは、しっかりと保管されているようだ。
これが「潜在記憶」というのだろう。
旅に出ると、日常の雑事から解放されて心の余裕が出てくるので、奥の方に押し込まれていた昔の感情を見つけてしまうのかもしれない。
得体のしれない不安は、なすすべのないまま放って置かれると、始末が悪い。
そして、ずっと付き合っていかなければならなくなる。
しかし、「ああ、自分はまだ、あの事に引っかかっていたんだな」と理解するだけでも、かなりその縛りから解放されるのではないか、と思う。
「こうあるべきだ」「こんなはずではない」という気持ちも、実現できない分、表面では考えることをやめているが、それがかえって理由のわからない不安のもとになっている、ということにも気がついた。
旅に出る良さは、こんな発見ができる所にもあるんだろう。